進路指導

一人ひとりに寄り添い、将来の生き方を考えていく、3年間を見据えた進路指導

進路指導部長 小田桐 雅之

本校の進路指導では、単に学校選びだけに留まらず、個性を尊重し、本人が自分の進路をいかに主体的に考えていけるか、を第一に考えます。

状況に応じて、担任や教科担当教員、進路指導教諭とじっくりと時間をかけて話し合い、一緒になって進路を探っていけるようサポートしていきます。また、生徒全員に配布する「進路通信」、数々の進路行事や学年行事を通2、3年次では必修授業と並んで、多くの「選択授業」がありますが、幅広い学問分野に分かれている選択授業は、進路における可能性を探り、きっかけをつくる意味においても密接に絡んでくるものと言えます。

実際に、選択授業の中から関心のある分野を見出し進路につなげた卒業生も多く、その結果和光生の進路先は実に多様です。一人ひとりに寄り添い、将来の生き方を考えていく3年間を見据えた進路指導を大切にしています。

1年生の進路指導

● 進路における将来の選択肢を増やすためにも、普段の授業で日々の積み重ねをし、基礎学力をしっかり身につける。

● 大学進学のみにこだわることなく視野を広げ、さまざまな生き方や価値観を意識する。

● 授業や行事において幅広い生き方や考え方に触れることにより、自分自身を知る。

2年生の進路指導

自分が将来何をやりたいか、それに向かって具体的にどのような準備が必要かを考え、多様な他者や学びと出会いつつ、自己理解を深める。

さまざまな受験制度を知った上で、それに対応できるよう、日頃から学校生活のあり方を自覚し、きちんとした学習習慣、生活習慣を身につける。

「 選択授業」が自分の進路にどのような意味があり、関わっていくかを考える。

3年生の進路指導

●具体的に進学校を決めていく上で、大学や専門学校への進学は、自分の進路にとってどのような意味があり、関わりを持ってくるのか、学校で何を学びたいのかなど、目的意識においての軸をはっきりさせる。

● さまざまな受験方法、それにともなうルールや手続きを理解する。

● 個人、三者面談を丁寧に行い、生徒本人や家庭の信頼を得られる指導を行う。

卒業生からのことば

2017年卒業
平田 彩さん

上智大学 総合人間科学部教育学部

入試方法:学校推薦(公募制推薦)型入試

和光でしかできない学び

私が今の進路を選ぶことができたこと、そして合格できたことは、和光高校での学びがあったからだと思います。

和光高校では、生徒が自由に自分の興味関心に沿って選ぶことができる「選択授業」が多く用意されています。大学へ進んだときにそのことを友達に伝えたら、「そんなの自分の通っていた高校ではなかったよ」と言われるほどです。そこで私は、「メディアが社会にもたらす影響・メディアが持つ性質」や、「現代の国家が形成された歴史・戦争はどのようにして生まれるのか」という、他の高校では学べないような深い学びに触れることができました。私は高校3年生の時点で、教育学科・社会学科・新聞学科など、どのような進路に進むのか迷いがありましたが、これらの学びがあったからこそ、情報をきちんと受け取り社会のために思考できる市民を育てることに関わる「教育」に興味を持ち、最終的に教育学科を選ぶことができました。このような深い納得度で進路を選ぶことができたので、大学で更に深い知識を身につけることができ、これからの人生で自分が目指すビジョンを持つことができているのだと思います。

そして和光高校では、レポート・テストの記述・クラスメイトとのディスカッションなど、アウトプットはさまざまですが、どの場面においても「あなたはどのように考えるのか」を問われます。また、そのような「問い」は授業だけではなく、和光生の文化にもなっているため、友達との日常的な会話でも、「なんであなたはそう思うの?」という対話をする場面が多くあります。3年間で、毎日のように、「新しく学んだことに対して自分はどのような意見を持つのか」「自分と異なる意見から何を学び更新するのか」という思考をしていたために、入試の面接や小論文試験でも、私にしか出せない意見・独りよがりではなくロジカルな意見を伝えることができたのだと思っています。

誰かが進むべき道を示し方法を教えてくれるのではなく、自分が正しいと思う道を見つけ進むことは酷だと思うこともありましたが、その経験があったからこそ、今の自分があると思っています。和光高校に進学することを考えている皆さんにも、自分の道を自分で拓く気持ちを持って、和光高校に進んでほしいと思います。

2017年卒業
吉田 平二さん

国際基督教大学 教養学部アーツ・サイエンス学科

入試方法:総合型選抜入試

「学ぶキッカケ」が散りばめられた教育

人はなぜ「学び」という活動を行うのでしょうか。

この問いは義務教育を終えた高校生、そしてその後の進路を選ぶ学生にとってとても重要な問いだと思います。現代の日本では多くの学生が「そういうものだから」あるいは、「親に行けと言われるから」と答えるかもしれません。しかし、それでは受動的な学びに過ぎず、本当の意味での「学び」とは言えないと私は思います。

では、本当の意味での「学ぶキッカケ」はなんなのでしょうか。それは一方的な知識の押し付けによってではなく、自分の目で見て、耳で聞きそして全身で感じるという経験を通して、フツフツと湧き上がってくる興味や、関心にあると思います。それらに基づく学びこそ、本当の「学び」であると私は考えます。和光高校での3年間には、そういった「学ぶキッカケ」につながるような要素が授業、行事、そして日常生活の中で沢山散りばめられています。

私にそれを与えてくれたのは高校二年次に選択した基地問題研究という選択授業でした。研究旅行という形で実際に沖縄に足を運び、現地の市民や、活動家、米兵にも話を聞きました。そういった「生」の体験が、私の中にあった強い関心を引き立て、大学入試の際にもとても役立ちましたし、現在の大学における「学び」につながっています。そして何より、それまではそれほど勉強が好きではなかったのですが、その関心に基づいた勉強を「楽しい」と感じるようになり、私にとって学びという活動が「やらなければならないもの」から「やりたいもの」に変ったのです。

これを読んでくださっている方々にも、和光高校における他ではできない稀有な体験や教育を通して、「学ぶキッカケ」との出会いがあることを心から祈っています。