必修選択A講座

必修選択A 研究旅行

必修選択Aでは10月に講座ごと3泊4日の研究旅行が組まれています。旅行先は講座ごと全国各地に広がります。授業のテーマを深めるために、現地で、調査、実習、見学を行います。教室の学びでは得ることのできない、現地の人の生の声や自然や建造物に触れ、学習を深めます。

研究旅行マップ

日本文学研究

日本の文芸や文化に触れることが中心です。文学作品等に触れて、舞台となった地などを研究旅行で訪れ、エッセイとして表現する、という内容です。文章を書くこと、表現することに力を入れ、コンクールにも応募し、これまでに多くの受賞者が出ています。研究旅行は伊勢(神宮)~大阪~小豆島を予定しています。

農と地域

今、日本の農業はどうなっているのか。「地域」という視点も持って学ぶ、ということがこの講座の目的です。2011年3月の東日本大震災によって明らかになった、エネルギーも食料も消費するだけだった私たちの生活をとらえ直すことも考えています。東京郊外の町田、隣接する川崎にはまだ農地があり、地場産のものを手に入れることができます。都市農家が農業を続けていくこと、またTPP参加によって日本の農業や、私たちの生活がどうなるのか、という大きな課題も考えながら、1年間地域の「農」業、「農」政、「農」家などについて現場に足を運びながら学んでいきます。

戦争と史跡

史跡をめぐることにより、歴史が現実の手触りのあるものであることを実感したいと思います。テーマは、日本に大きな影響のあった十五年戦争を中心にします。研究旅行後の授業は、「平和とはどのような状態か」「平和をつくり出す力は一体何なのか」といったテーマで議論を行いたいと思います。研究旅行は長崎を予定しています。現地では、原爆に関わる史跡などを巡ったり、現地の方の証言を聞いたりすることになると思います。あわせて、長崎の市民や、修学旅行で長崎に来ている人に対して街頭でインタビューをしてもらう計画です。小・中学校で戦争や平和ということについて充分学んでいる人もいると思いますが、この授業では新たな視点がえられると思います。

日本古代史研究

主に約1万年前の縄文時代から弥生時代、古墳時代、飛鳥時代といった時代を取り上げます。そのなかで、「日本」という国家や「日本人」の歴史はどのように始まったのかということを、体験学習やフィールドワークを通して考えていきます。具体的には火おこしをしたり実際に土器を作ったり、また古代の食事を再現したりすることなどを予定しています。研究旅行は大阪での「考古学実習」や滋賀県の博物館でのまが玉作り実習、そして奈良の「飛鳥」巡りなどを中心に考えています。

労働と福祉

現在の日本は「格差」が拡大していると言われています。この「格差」とはお金を「持っている」と「持っていない」を表しているのはもちろんですが、困ったときに助けてくれる人がそばに「いる」と「いない」などということまで範囲を広げて考えてみることもできるでしょう。(いまの日本はまた、「無縁社会」とも言われるようになっています。)こういった「格差社会」や「無縁社会」と呼ばれるようになった状況の中で、労働(働くこと)と福祉(助け合うこと)がどうなっているか学習していきます。2017年度の研究旅行は、大阪・神戸で「野宿者への襲撃問題」「野宿者への支援のあり方」「震災学習」などを行いました。今年の研究旅行も大阪・神戸で行う予定ですが、変更があるかもしれないことを承知しておいてください。研究旅行だけでなく、普段の授業でもフィールドワークを行います。

科学技術と生活

科学が発展することで私たちの生活の便利さが向上しています。特に食品や電化製品など身近なものと科学との関連は深いです。しかし生活をする中で科学を感じる機会はそう多くはありません。実際には製品の製造過程で様々な科学技術が使われていますが、それがブラックボックス化していて、私たちにはわからなくなっています。この講座では、世の中のブラックボックス化しているものの原理・仕組みを理解することを通して、生活の中の科学を感じられるようにしたいと考えています。1年間で、論理的に考える力と全体を見通す力を養い、アイデアをかたちにする企画力を身につけることを目指します。研究旅行では、主に静岡県内の大学の施設や企業の工場設備を見学し、科学技術に関わる知見を広めます。

絵画Ⅰ

絵画の分野の中で、鉛筆デッサンと油彩画、水彩画を行います。「物」に対する基本的なとらえ方を学ぶ上で、より個性的な完成度の高い作品を目指していきます。特に油彩画では「静物」をモチーフとして作品を制作する予定です。油彩画における技術を学ぶことも大きなねらいとしますが、難しく考える必要はなく、初心者でも十分取り組んでいける技法です。水彩画では、「風景」を描く予定です。対象と向き合う中で、深く描写表現を追求していくので、根気よく制作に挑む姿勢が必要とされます。研究旅行は、主に風景写生と美術館見学を中心に組む予定です。描かれた優秀な作品については、毎年文化祭で展示しています。

版画Ⅰ

多様な版画技法を学ぶと同時に、版画がどのようにして生まれ、現在の生活にどのような役割を果たしているかを実技を通して学んでいきます。実技以外にも講義やフィールドワークを通じて版画の歴史や表現方法を学んでいきます。版画は絵画や素描と異なり、絵を描くだけではありません。原画・彫り(製版)・刷りと3つの工程を経て作品となります。その工程には様々な作業があり、一つ一つの作業の積み重ねによって作品が出来上がります。研究旅行では、札幌の「芸術の森」版画工房を借りて大型木版画制作を行う予定です。

基地問題研究

この講座で取り上げるのはいわゆる在日米軍基地問題です。今日も和光高校の上空を飛ぶ軍用機の音が聞こえてきました。戦後74年続く日本の“平和”のこと、じっくりと考えてみませんか。日米関係や日本の国際貢献、安全保障、平和や社会運動のあり方などについて自分の意見を持てるようになることを大きな目標としています。研究旅行で訪問するのは、基地を囲むフェンスが長く続く沖縄です。そこに暮らす生活者たち、そして米兵を含む基地関係者たちと対話しながら、この問題を考えていくための材料を集めます。特に、普天間飛行場移設問題の舞台となっている宜野湾市と名護市(辺野古)でのインタビュー調査を軸に、年間を通してフィールドワークを実施しています。

ものづくりと音

ものづくりとはなにか?日本の産業を支えていると言ってもよい「ものづくり」というテーマで、触れ、その精神を考え、技術を体験し、音楽とつなぎ合わせていきます。この講座では実習を通し手先の技術力(器用さ)の育成も行います。ものづくりから音楽へ、音楽からものづくりへ。かけ離れた文化をつなぎ合わせていく。ギター製作を通じて、音、電気、塗装、工芸について学び、ものづくりとはなにか?そのこだわりが、演奏しやすさ、音の豊かさにつながっていることを考え、学んでほしいと思っています。研究旅行では箱根・清水・浜松を訪れ、実習を中心とした手先を動かし、感じる、考えるをテーマに学習していきます。

動物と人間社会

この講座は、“人間社会で生きる動物たちのことを考える”を大きなテーマに掲げています。愛玩動物、産業動物、動物園動物、野生動物、実験動物、介助動物など、様々な関わり方の動物を挙げることができますが、授業で主に扱う内容は「動物園動物のこと」「動物園動物から考える野生動物のこと」「野生動物をとって食べる漁業・魚食のこと」です。
私たちが多様な動物たちとともに生き続けていくためには、どのように関わるべきか、それぞれの問いについてみんなで考えていく授業です。

ひととことば

聞き書きの活動を通じて他者、地域社会、自然、言葉を探究し、文章にまとめる力と話すなど身体で伝える力を養います。聞き書きとは、相手と出会い、あるテーマをもとに対話し――そのときに許可を得て録音し、再生を繰り返しながら――相手の口調も残しつつ記録としてまとめること、またその文章を指します。友達の話を聞き、先輩の話を聞き、フィールドワークで現地の方の話を聞きます。研究旅行先は2021年ユネスコの世界自然遺産に登録された奄美大島です。